「投資戦略の発想法」を再読して投資を見直してみる

  私が投資に関して影響を受けた本はいくつかありますが、最も影響を受けた本の1つは木村剛著の「投資戦略の発想法」です。著者が銀行法違反で逮捕されてしまったため、2009年に改訂された「投資戦略の発想法2010」以降の改訂版はありませんが、本書に記載されている考え方は今でも十分通用します。今回、再読してポイントを整理してみました。

目次

  • 投資の前にやるべきこと
  • 経済の基礎を再確認
  • そして投資戦略
  • 終わりに

投資の前にやるべきこと

本書が優れている点は、投資を始める前にやるべきことを記載しているという点です。投資の本に書かれていることの多くは、ポートフォリオとか、銘柄選択とか、チャートの見方とか、投資のテクニックについて書いてあります。しかしながら、本書はそんなことを学ぶよりも先に以下の3つをやるべきと読者に伝えています。

  1. バランスシートを作成する
  2. 生活防衛資金を貯める
  3. 仕事を極める

1点目のバランスシートを作成するとは、自分の資産と負債の状況を把握するということです。資産を運用する前に、現状の資産を把握するという、至極当たり前のことが書かれています(しかし出来ていない人が多いはず)。
2点目の生活防衛資金は、2年程度生活できるための資金を確保し、そのお金以外で投資を行うということを意図しています。投資をする前にまず貯金・・・という考えは、本書が初めてではないかと思います。また、本書には節約についても記載されており、1%利回りが高い資産運用よりも1%安く買う節約の方が難しくないという考え方は節約の重要性を理解する上で適切な表現だと思っています。
そして3点目の仕事を極めるとは、自分の本業はあくまで仕事であり、投資はそれを支えるものであるということを意味しています。仕事がうまくいかないから資産運用で殖やす・・・という考えではなく、まずは本業にしっかり取り組めという、これも他の本にはなかなか書かれていない内容だと思います。

経済の基礎を再確認

本書の第2部は投資の理論についてです。経済の基礎からリスク分散の考え方、リスクとリターンの関係、行動経済学まで、詳しく記載されていませんが、わかりやすい説明が並んでいます。
私は再読なのでほぼ流し読みでしたが、深く知りたい内容があればより詳しい本を読めばよいので、入門としてはよいと思っています。特に行動経済学はわかりやすい説明でなかなかよかったです。

そして投資戦略

第3部になってやっと投資戦略の話です。5分割ポートフォリオの考え方から始まり、財産形成の3つの段階を紹介しています。その3つの段階は下記のようなものです。

      第一段階:生活防衛資金
      第二段階:ETF/インデックスファンド、国債、外貨MMF/FX
      第三段階:個別株式

再読して気付いたのですが、本書では高い手数料を理由に株式投信をおすすめしておらず、個別株式を20銘柄程度保有することを推奨しています。出版された2009年と現在を比較すると、現在は手数料の安い投資信託やETFも多数登場しているので状況は変わっていますが、それでも日本株式については個別株式を多数保有することの方がコストは低いと思われます。
私が最初に読んだときは、個別銘柄を保有する資金がなく、インデックスファンドを購入するしかありませんでした。しかし現在であれば個別株式を購入できる状態なので、今後は第二段階から第三段階に移行していくべきなのだと理解しました(知らず知らずのうちに始めていましたが・・・)。再読することによって新たに学ぶことができてよかったと思います。

終わりに

本書は、中古でしか購入できなかったり、時事ネタが古かったりと気になる点もあるのですが、書かれている内容は本物だと思っています。もしこの記事を読んで読みたいと思った方、是非見つけてご一読を。

fujitaka

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